ギンガクのビンヅメ Gingaku Skelton Writing Camp

福島県沖地震にともなう完全オンライン開催について

2月15日より滞在開始を予定しておりました「ギンガクのビンヅメ」ですが、
2月13日に発生した福島県沖地震、2月15日から19日にかけての気象予報、
それらにともなう交通網への影響、さらに新型コロナウイルス感染予防対策を鑑み、
当初の予定通りの西和賀町での滞在制作を取りやめ、
各自の自宅等からの完全オンライン体制にて開催することを決定しました。

 

ギンガク実行委員会では、
招聘作家・サポーターの皆様とともに西和賀町での滞在制作の可能性を模索し、
2月14日に以下のような協議・検討を行いました。

まず、2月14日朝時点で「東北新幹線が那須塩原〜盛岡間で運休」という報道を受け、
滞在開始を15日ではなく16日に変更する方向で検討・調整に着手しました。

しかし、その後「復旧に10日前後を要する」という報道があったことから、


「首都圏からの滞在予定者を那須塩原または在来線で北上できる限りの地点まで
実行委員会がマイクロバス等で迎えにいく」


「上越新幹線・羽越本線の特急を乗り継いで、日本海側から北上してもらう」

という2案で検討を行うこととなりました。
(高速バス利用案については感染予防の面から却下しました)

ただし、案1については車両・運転手ともに実行委員長自ら引き受けることとなったものの、
地震ならびに積雪・気温の変化による土砂災害の危険性、余震発生の可能性が否めず、
案2については、羽越本線は強風により運休となる可能性が高いといった意見も出されました。

そこで案3として19日以降の滞在開始も含めて検討することとなりましたが、
15日の滞在開始に向けて取り組んでいた行動制限をともなう予防生活の延長という負担、
PCR検査の再受検という負担が加わる上、
移動時のリスク・条件は15日時点とさほど変わらないであろうことから、

「15日に栃木・福島のどこかまで北上してもらい、実行委員長と事務局が迎えにいく」


「西和賀町での滞在制作を断念してもらう」

という2つの選択肢で判断することとなりました。

 


今回の「ギンガクのビンヅメ」は実質的にペアでの制作です。
そのペアもほとんどが初対面であり、今回の合宿が出会いの場になる予定でした。
誤解を招くような表現となりますが、事務局である小堀個人としては

「どのようなリスク・マネジメントによってその機会を実現できるか」

 

といったことを必死に考え続けましたが、
最終的には、運営の中心的なスタッフである高野から発せられた

「東北における〈地震〉の意味を考慮することが大切なのではないか」

という言葉を受け、

西和賀町での滞在制作を断念してもらうことを決定しました。


いうまでもなく、2021年は東日本大震災から10年目という節目の年です。


その現場である東北の地で誰かを〈地震による被災〉のリスクに晒すこと。
それはどんなにこの企画が西和賀町や演劇や文化芸術にとって意義深いものであるとしても、
誰からも歓迎されない行為です。

さいわい「ギンガクのビンヅメ」は
オンライン上をもうひとつの主会場とする企画です。

 

あきらめなくていいことがちゃんとあるのだから、
あきらめられることは堂々とあきらめよう。

 

私たちは「ギンガクのビンヅメ」を
完全オンライン開催のプロジェクトとして捉え直し、
新たな気持ちで臨むことにしました。

 


ビンヅメに限らず、ギンガク実行委員会では
「〈面白い〉ということは希望である」という意識を大切にしています。

こんな事態を迎えたことはもちろん想定外でしたが、
それでも前向きに決断することができたのは

「ただ旅館にカンヅメにするのは面白くないからオンラインで書いてもらう」

と運営スタッフの佐藤が〈面白さ〉にこだわってくれたおかげです。

思えばあの時点でギンガクは勝っていました。
いや、克っていました。


さて、ビンヅメはひとまず「企画の〈面白さ〉」に救われました。
ここからがいよいよ本番です。

各地からオンライン上で紡がれる戯曲に、
劇作家たちはどんな〈面白さ〉を吹き込んでくれるでしょうか。

そして、その執筆プロセスをオンライン上で見守る私たちは、
はたしてその〈面白さ〉をどれほど見出すことができるでしょうか。

 

こんな事態に見舞われたからこそ、
精一杯の〈面白さ〉を詰め込んだ10日間をお届けしたいと思います。

 


企画のアイディアが生まれたのは、2020年6月でした。
それから8ヶ月。

待ちに待った「ギンガクのビンヅメ」が始まります。
 

 

 

ギンガク実行委員会事務局
小堀 陽平